社会福祉を拓く(2)

 新型コロナウイルス感染拡大が、全国民の生活不安を日々、増大させています。福祉従事者のひとりとしてこの大きな問題をどう受け止めるか。

 このような状況になると、私たちの大先輩である糸賀一雄氏の文献の一説がいつも脳裏に浮かび、やけに説得力を持ち、ちっぽけな無力な自分を悩ませます。引用します。約50年前の当時の状況と今を重ねることができると思います。

 「地域活動の中に問題意識を取り込み、盛り上げていくということは、地域活動の本質的なあり方でなければならない。それには、住民にとってなにが問題であるかをあきらかにする人と役割が必要であろう。中略」

 「先年ポリオが意外な蔓延をみて、大げさにいえば、全国民が恐怖におとしいれられたことがある。そのときに地域住民の福祉の切実な問題として、社協活動は、これをどううけとめたのだろうか。中略 大多数の社協は、まるで自分たちにはかかわりのないことであるかのように見過ごしていたのではなかったろうか。中略 」

 「住民のニードを自分のものとして感じ、うけとめ、しかもこれを整理して、もういちど住民のすべての自覚的なものとするための専門家がいてほしいのである。中略」

 「自覚的な盛り上がりは、たとえひとつの経験でも、すべての活動の基本的な態度を育てることとなる。到達した高みは、あらゆる生活にひびき、その視野を広げるものであろう。」

 能く一隅を照らす者にして始めて、能く照衆・照国を照らすことができる。

 福祉を求め、社会福祉を拓く わたしでもできることがある。